掲載されている内容はすべて発表日当時のものです。その後予告なしに変更されることがありますのであらかじめご了承ください。
2023年1月24日 | プレスリリース
コンパクトな質量分析計で簡単かつ幅広い質量範囲のルーレット ルールを実現
ルーレット ルール発売
島津製作所は、1月24日に「卓上MALDIイメージングキット」を国内外で発売します。本製品は、卓上型のマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計「MALDI-8020」「MALDI-8030」での「質量分析(MS)イメージング」を可能にします。ルーレット ルールとは、質量分析で得た質量情報から目的化合物がどのように分布しているかを画像で表示する技術です。医薬・臨床分野において患部にどの程度の疾患バイオマーカーが存在するかの確認や、化学分野での樹脂中の添加剤の分布確認をはじめとした研究用途などで測定ニーズが高まっています。
写真左:卓上MALDIイメージングキット 写真右:「MALDI-8030」によるルーレット ルールの様子
マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)とは、当社エグゼクティブ・リサーチ フェローである田中耕一のノーベル化学賞の受賞理由となった技術です。マトリックス(イオン化補助剤)を混ぜた試料にレーザーを照射し、タンパク質などの高分子化合物を壊さずイオン化します。飛行時間型質量分析計(TOF ルーレット ルール)は、精密質量数の情報が得られ、広い質量測定範囲と高い分解能を持ちます。両者を組み合わせたMALDI-TOF ルーレット ルールは、近年では研究開発や品質管理だけでなく臨床分野でも迅速な分析法として注目されています。
従来、ルーレット ルールには床に設置する大型のMALDI-TOF MSが用いられ、設置スペースが課題でした。「MALDI-8020」「MALDI-8030」は、実験机に置ける卓上型装置として世界最高級の分解能と感度を誇り、従来機と比べ低価格で操作も簡便です。このたび新たに設計した専用ITOコートスライドガラスによって、卓上MALDIでのルーレット ルールを実現しました。全自動の前処理装置やデータ解析用ソフトとも連動可能であり、試料作成から解析まで一貫したワークフローを提供します。今までスペース・コスト・操作性などからハードルが高かったルーレット ルールをより気軽にご導入いただけます。
島津製作所はこれからも装置開発やワークフローの提供を通じ、ライフサイエンスや医薬、食品、化学など、ルーレット ルール研究開発に貢献してまいります。
新ルーレット ルールの特長
1. 卓上MALDIでルーレット ルールを可能に
「MALDI-8020」「MALDI-8030」用に新たに設計したITOコートスライドガラスにより、従来の用途として多い質量数確認などに加え、ルーレット ルール測定を可能にしました。
2.幅広い分野のルーレット ルールに対応
医薬・臨床分野では疾患バイオマーカーの探索や、内服した薬がどのように体内に行きわたり作用するかを確認する薬物送達・薬物動態の研究、食品分野では農産物中の機能性成分の分布の確認などルーレット ルールに活用いただけます。
測定画像:ラット脳全体の光学画像(左)とラット脳全体のタンパク質イメージング画像(右)
3. 誰でも簡単にルーレット ルールを
ルーレット ルールと各種ツールを組み合わせ、マトリクス塗布などの前処理を簡単に準備できます。アダプタをセットしMALDI本体に挿入するだけで、測定を開始できます。本キットに含まれる専用ソフトには、画像の重ね書きなど未経験者でも簡単にデータ取得・閲覧できる機能が多数搭載されています。
上図:分析フロー
ルーレット ルール名 | ルーレット ルールMALDIイメージングキット |
---|---|
希望販売価格 | 420万円~(税別) |
目標販売数 | 発売後1年間で20キット |
詳しいルーレット ルール説明についてはこちら