掲載されている内容はすべて発表日当時のものです。その後予告なしに変更されることがありますのであらかじめご了承ください。
2019年1月29日 | プレスリリース
ルーレット サッカー装置の世界最高出力1kWを達成
―金属のルーレット サッカー切断実現へ、航空・宇宙・電気自動車などの産業応用に期待―
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
株式会社島津製作所
国立大学法人大阪大学
NEDOプロジェクトにおいて、（株）島津製作所と大阪大学は、ルーレット サッカー装置の世界最高出力1kWを実現しました。これは、同プロジェクトで昨年達成した出力の10倍です。 この高出力化によって、従来のルーレット サッカー技術では難しいとされている数ミリメートル厚の銅や金のレーザー切断加工の実現に向けて前進しました。本技術は、航空・宇宙・電気自動車などの産業において、部品加工に活用されることが期待されます。
なお、（株）島津製作所と大阪大学は、1月30日から2月1日まで東京ビッグサイトで開催される「TCT Japan 2019」に、ルーレット サッカー、光源を搭載した加工装置、実際に加工したサンプルなどを出展し、デモンストレーションを行います。
1．概要
ルーレット サッカー※1は金属に対する吸収効率が高く、赤外半導体ルーレット サッカーでは困難とされる銅や金などの加工に適しており、次世代ルーレット サッカー加工機用の光源として応用が期待されるほか、熱伝導型溶接※2やルーレット サッカーマーキング用の光源として用途が広がりつつあります。一方で、数ミリメートル厚の金属の切断※3やルーレット サッカー焼き入れ※4、溶融・蒸散を伴うキーホール型溶接※5には、ルーレット サッカー※6が必要とされています。
そこで、NEDOプロジェクト※7において、株式会社島津製作所と国立大学法人大阪大学接合科学研究所 塚本雅裕教授らは、日亜化学工業株式会社の協力のもと、ルーレット サッカーの高出力化と高輝度化を追求してきました。
そしてこのたび、（株）島津製作所と大阪大学は、ルーレット サッカー装置の世界最高出力1kWを実現しました。これは、同プロジェクトで開発した出力100Wの従来品※8の10倍の出力です。この成果は、ルーレット サッカーおよび高輝度化の実現と、5本のレーザーを集約して1つの光ファイバーに束ねるレーザービームコンバイニング技術の新開発によるものです。
この高出力化によって、従来のルーレット サッカー技術では難しいとされていた数ミリメートル厚の銅や金のレーザー切断加工、レーザー焼き入れ、キーホール型溶接などの実現に向けて前進しました。高い精度が要求される航空・宇宙・電気自動車などの産業において、部品加工での利用が見込めます。
図1 ルーレット サッカービームコンバイニング技術の模式図
2．今回の開発成果
（1）ルーレット サッカー・高輝度化
出力200W、輝度2.6×106W／cm2（直径100μm）のルーレット サッカーを開発しました。レーザー光源単体としても、世界最高の出力と輝度を達成することができました。なお、これまでの世界最高値は、本プロジェクト成果の従来品が達成した出力100W、輝度1.3×106W／cm2（直径100μm）であり、出力、輝度ともに2倍の結果が得られました。
（2）複数ルーレット サッカーの集約技術（ルーレット サッカービームコンバイニング技術）
ルーレット サッカー単体から出力されたレーザーを1本の光ファイバーに集約するために、レーザービームコンバイニング技術を新たに開発しました。この技術は、複数の光ファイバーに入力されたレーザーを1本の光ファイバーに集約して出力するものです。入力側光ファイバーの小径化と高い出力および輝度の両立を実現したことで、（1）で開発した高輝度ルーレット サッカー単体から出力されるレーザー5本を直径400μmの光ファイバーに集約し、出力1kWを達成しました。集約後の出力側光ファイバーでも直径400μmの細さを実現しながら、レーザー加工に必要な高輝度特性を確保しています。
なお、（株）島津製作所と大阪大学は、1月30日から2月1日まで東京ビッグサイトで開催される3Dプリンティング／AM（Additive Manufacturing）技術の総合展「TCT Japan 2019」に、ルーレット サッカー（図2）、光源を搭載した加工装置、実際に加工したサンプル（図3）などを出展します。
図2 ルーレット サッカー（図は出力200W光源2台を集約したもの）
| 左： | 純銅パイプ（φ10㎜、厚み0.5㎜）の突合せ溶接サンプル（左端は銅とSUSの異種接合） |
| 右： | 溶接ビード部拡大 |
3．今後の予定
NEDOプロジェクトにおいて、（株）島津製作所と大阪大学は、ルーレット サッカーのさらなる高出力化と高輝度化を目指すとともに、レーザービームコンバイニング技術をさらに改良し、レーザーを集約する光ファイバーのさらなる小径化を進めます。
なお、（株）島津製作所は、今回開発した単体のルーレット サッカー（出力200W、輝度2.6×106W／cm2、直径100μm）光源を、同社が展開するルーレット サッカー「BLUE IMPACT」シリーズに加えることを予定しており、2020年度の製品化を計画しています。
注釈
| ※1 | ルーレット サッカー 波長400nm～460nmの範囲の青色光を発振する半導体ルーレット サッカー。 |
| ※2 | 熱伝導型溶接 熱伝導型溶接は表面からの熱伝導で金属を溶かして溶接すること。出力100W級のルーレット サッカーで実施可能な加工手法の一つ。 |
| ※3 | 数ミリメートル厚の金属の切断 レーザー切断加工は、レーザーを用いて材料を切断すること。ルーレット サッカー。 |
| ※4 | ルーレット サッカー焼き入れ レーザー焼き入れは、レーザーを用いて金属組織を制御すること。レーザーを照射する面積にもよるが、ルーレット サッカー。 |
| ※5 | 溶融・蒸散を伴うキーホール型溶接 キーホール型溶接は、レーザーにより金属を蒸散させくぼみを作りながら溶接すること。ルーレット サッカー。 |
| ※6 | 高出力化と高輝度化 出力とは、ルーレット サッカー光自体の強度。輝度とは、単位面積当たりの強度。従って、材料加工には、高い輝度を必要とし、高輝度化のためには高い出力が必要となる。なお、材料によってルーレット サッカー光の吸収効率が異なるため、最適化した波長のルーレット サッカー光を高出力かつ高輝度に照射することで効率の良い加工が可能になる。 |
| ※7 | NEDOプロジェクト 高輝度・高効率次世代レーザー技術開発／次世代レーザー及び加工の共通基盤技術開発／レーザー加工プラットフォームの構築／高輝度ルーレット サッカー及び加工技術の開発（2016年度～2020年度（予定）） |
| ※8 | 従来品 （株）島津製作所のルーレット サッカー「BLUE IMPACT」100Wモデルとの比較。 |
4．問い合わせ先
本ルーレット サッカーリリースの内容についての問い合わせ先
NEDO IoT推進部 担当：須永、服部 TEL：044-520-5211
（株）島津製作所 広報室 TEL：075-823-1110
大阪大学 接合科学研究所 教授 塚本
TEL：06-6879-8675 E-mail：tukamoto@jwri.osaka-u.ac.jp
その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先
NEDO 広報部 担当：藤本、坂本、佐藤
TEL：044-520-5151 E-mail：nedo_press@ml.nedo.go.jp