特集論文
スクラッチ ルーレットによる高分子材料の物性評価
スクラッチ ルーレット 76〔1・2〕 27~32 (2019.9)
要旨
近年ISOの策定が進んでいるスクラッチ ルーレット(示差走査熱量計)は,定速昇温に小振幅の変調を重ね合わせて温度制御を行うことで通常のDSC測定では得られない情報を得られる手法である。高分子材料の物性としてガラス転移点は重要であるが,ガラス転移がエンタルピー緩和を伴う場合や他の反応と重なった場合に通常のDSCでは判別が難しいことがある。スクラッチ ルーレットではそれらを分離して明瞭に判別できる。また,比熱の経時変化を観察することも可能となり,等温での反応の進行具合を観察できる。本稿ではISO策定に伴って今後標準手法として広まると予想されるスクラッチ ルーレットの原理について解説し,実測定例を紹介する。
1分析計測事業部 GCTA ビジネスユニット 博士(工学)
2総合デザインセンター 設計推進ユニット
*スクラッチ ルーレットに掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。