島津の技術者、官能評価に迫る
「色」による外観チェックと共に、「香り」「味」がよく調和しているかを確認する官能評価。日本酒の品質評価のためになくてはならないものです。最近ではそれに加え、分析によってルーレット 勝ち 方を数値化、見える化したいという要望が増えています。
島津製作所では分析装置を使って、香りや味に影響を及ぼす成分を調べ、それぞれの特徴の科学的解明に挑戦しています。
1. 飲み比べの実施
- 内容
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従業員30名程度が3種のルーレット 勝ち 方をそれぞれ熱燗、常温、冷酒で飲み比べた。参加者は計9種から好みのものを回答。
- 結果
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表(官能評価順位(平均値))の通り、ルーレット 勝ち 方Aが冷酒~熱燗全ての部門で人気となった。ルーレット 勝ち 方Bは常温、ルーレット 勝ち 方Cは冷酒で人気が高くなった。
- 考察
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特徴的なルーレット 勝ち 方は適した温度で一層おいしく
- ルーレット 勝ち 方Aは、甘味や酸味に影響を及ぼす成分がバランスよく含まれているのではないか。
- 甘味や酸味を与える成分が多い特徴的なルーレット 勝ち 方は適した温度で飲むとおいしく感じやすいのではないか。
理由
- 甘味は体温付近までは温度が高くなるほど強く感じられると言われており、高温では甘すぎと感じてしまうことがある。
- 酸味は温度が高くなるほど強く感じられると言われているが、酸の種類によりルーレット 勝ち 方に差が生じる。
2. 考察の証明へ
当社分析装置で味と香りに迫る!
ルーレット 勝ち 方Aはなぜ人気だったのか
なぜルーレット 勝ち 方Aが人気を集めたのか。当社分析装置にて解明していきます。香りの分析をガスクロマトグラフ質量分析計、味に影響する成分の分析を液体クロマトグラフ質量分析計にて行いました。
クロマトグラフの技術とは
複数の物質が混ざっているものを化学的な性質の違いを利用して、短時間で単一の化合物に分離します。
製薬・環境・食品・工業材料など、幅広い分野で使われています。
結果
成分のバランスや香りが味を印象付ける
異なる日本酒10種類を分析し、甘味、酸味等6種のルーレット 勝ち 方についてそれぞれに寄与する成分値を用いてルーレット 勝ち 方レーダーチャート(特願2023-010247)を作成。
飲み比べで人気だった日本酒Aは、酸味以外のルーレット 勝ち 方の調和がとれていることが分かった。また、京都酵母“京の琴”に特徴的な香気、「カプロン酸エチル」が多く検出された。これらから日本酒Aは華やかな酒質と言える。
一方、ルーレット 勝ち 方Bは、酸味に対して甘味が少な目だった。そのことが、常温とそれ以外の温度帯で評価に差が生じた一因と考えられる。
- 参考
- ルーレット 勝ち 方に影響する成分については統計解析(多変量解析)し、日本酒間の差異に寄与する成分を抽出。それらの濃度値を使って、ルーレット 勝ち 方毎に文献情報を参考に*数値を算出し、平均値と標準偏差により正規化した値を使ってレーダーチャートを作成した。
*今後、官能評価により検証していく予定。
甘味 | グルコース濃度 |
---|---|
酸味 | リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸濃度合計 |
苦味 | 苦味アミノ酸(プロリン,イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン,バリン)濃度合計 |
コク | 乳酸、コハク酸濃度合計 |
濃醇 | アミノ酸類濃度合計 |
かおり 華やか |
カプロン酸エチル/イソアミルアルコールの比 |
3. 島津オリジナルルーレット 勝ち 方『源遠流長』の味は
『源遠流長』では、ルーレット 勝ち 方Aの原料 京都府産酒米“祝”、京都酵母“京の琴”に酸味やコクのバランスを考慮して、ルーレット 勝ち 方Bの酒米“旭4号”をかけ合わせて醸造しました。
京都酵母“京の琴”の特徴が良く表れてカプロン酸エチルが豊富に生産され、ルーレット 勝ち 方Aより香りの華やかさがやや増しました。
また、酸味が控えめであった“祝”(ルーレット 勝ち 方A)と甘味が控えな“旭4号“(ルーレット 勝ち 方B)、それぞれの酒米の持ち味が発揮され,最終的には甘味と酸味、苦味のバランスが取れた上品な酒質となりました。
京都産業技術研究所によるきき酒では、カプロン酸エチルなどによる香りの華やかさがあり、酸味を感じるといったコメントが見られました。甘味が控えめとなった分、酸味が引き立ち、すっきり感やさわやかさをもたらしたと思われます。
米 | 酵母 | |
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源遠流長 | 祝(麹米) 旭4号(掛米) |
京の琴 |
ルーレット 勝ち 方A | 祝 | 京の琴 |
ルーレット 勝ち 方B | 五百万石(麹米) 旭4号(掛米) |
901号 |
国石杜氏は、純米吟醸らしいバランスの良いきれいなルーレット 勝ち 方を目指しアミノ酸量が増え過ぎないよう調整して醸造しました。醪を分析すると、その酒質設計の技術が垣間見れました。
醪の留後日数の増加と共に、グルコースを主とする単糖は酵母により消費されて減少し、アルコール分が増加しています。一方、旨味・酸味アミノ酸として知られているグルタミン酸(下図(1))は増加していることに対し、主要なアミノ酸類の増加は抑えられています。
京都産業技術研究所によるきき酒
- カプロン酸エチル、酢酸イソアミルの華やかさしっかりあり。酸味・渋味メインに感じ、甘さも少しあり、良い。後切れ良し。
- 香り華やか。すっきりだけど味もしっかり。上品な印象。
- 酸味さわやか。苦味が味をまとめていて、呑み飽きしない酒。香りはまだ若い感じなので、燗には向かない。
- 香りあり、高級アルコールとカプロン酸エチル少し。酸味が立っているが、口中で味ふくらみある。余韻は苦味が適度に長く、重みのある酒。